地図があったとしても、通る道を決める作業が別途必要になる。

もはや地図という表現すら不適切で、ルーティングテーブルは次の方角しか示す道路標識でしかない。 ネットワークの内部にある機器は、ネットワークの全体像を知らないのだ。

目的地までの道順を決めるには、最低限、現在地と目的地との位置関係を知る必要がある。

目的地に隣接するルータから始まって、「こっちに曲がれば目的地に着く」という情報を伝言ゲームのようにどんどん隣のルータに伝えていくことで、それは達成される。

このように、ルータ同士が情報を交換しながらネットワークの構造を知る方法を動的経路制御(ダイナミックルーティング)といい、それを実現する仕組みをルーティングプロトコルという。

また、「内部の機器たちが知らないのなら、外部から教えてやればよい」という発想もある。 この発想で、ネットワークを作ったネットワーク管理者が手作業でルーティングテーブルを作る方法を静的経路制御(スタティックルーティング)という。